精神障害者の合理的配慮申し出1割 鉄道利用で意識調査

2025年0523 福祉新聞編集部
精神障害当事者ポルケウェブサイトより

精神障害や発達障害がある人の半数が鉄道利用について困った経験があるとする一方、鉄道職員に合理的配慮を申し出たことがある人は1割にとどまることが5月2日、精神障害当事者会ポルケ(山田悠平代表、東京)の意識調査で分かった。

2024年4月施行の改正障害者差別解消法により、合理的配慮の提供が鉄道を含む民間事業者にも義務付けられたが、調査報告書は合理的配慮の申し出が1割だった点について「大変深刻な問題だ」と指摘。障害当事者団体と鉄道職員が共に学ぶ研修の充実が必要だと提言した。

調査は24年12月から今年1月にかけてオンラインで実施。42都道府県から357人の有効回答を得た。

それによると、鉄道利用に際して困ったことがあるとした人は175人(49%)。困り事の内容は「混雑で過呼吸になる」「疲れやすいのにベンチがない」といった障害特性によるもので、車内混雑の緩和や休憩スペースの確保が課題であることが分かった。

一方、合理的配慮を求めた人は40人(11.2%)。「医務室で休憩させてもらえた」という回答もあったが、「説明すること自体が負担になる」などの理由から配慮を求めたくても申し出なかった人が49人(13.7%)に上った。

合理的配慮とは個別具体的な場面での環境調整のことで、過大な負担にならない範囲で民間事業者もそれに応じなければならない。

配慮を申し出る側も「どこまで頼んでよいか分からないので罪悪感がある」「拒否されると面倒」といった思いがあるため、報告書は鉄道職員の接遇の良さと情報・空間の整備の双方が重要だとしている。

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