ポリオ罹患者の体験記 全国連絡会が2年半かけ刊行

2025年0523 福祉新聞編集部
ポリオの軌跡表紙

「207人の半生を今後の施策に生かし、障害者が暮らしやすい社会にしてほしい」

そんな思いを込めて全国ポリオ会連絡会(柴田多恵共同代表、会員800人)が「ポリオの軌跡~ポリオ罹患者はいかに生きたか」を刊行した。ポリオという障害を負って生きてきた苦悩や葛藤、不安、希望を初めて一つの冊子にまとめた。

ポリオはポリオウイルスによる感染症で、手足がまひして後遺症が残る。乳幼児期にかかることが多く、脊髄性小児まひとも呼ばれる。罹患後、数十年たって症状が拡大するポストポリオ症候群にかかる人も少なくない。1960年に全国で5000人以上の罹患者がいたが、翌年、ポリオワクチンが輸入されると減少した。

現在、国内で罹患する人はほぼいないが、連絡会は罹患者が高齢化して、体験を伝える人がいなくなってしまう前に自分たちの存在を後世に伝えようと、2年半かけて制作した。

冊子では、207人が周りに迷惑をかけないよう懸命に努力してきたことが記され、頑張りすぎたことでポストポリオ症候群を引き起こしてしまった徒労感もある。良いと言われたことは何でも取り組み、家族に感謝する記述も多い。特にバリアフリーも合理的配慮もない時代では、学校や職場での差別があり、最大のバリアである移動に苦労したことも記されている。

冊子は1000円で頒布している。郵便振替口座番号は02720―6―95146、加入者名は全国ポリオ会連絡会。問い合わせは柴田共同代表(電話078・792・7471)へ。

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