就労選択支援、厚労省がマニュアル作成 10月施行前に課題共有
2025年05月21日 福祉新聞編集部
10月に創設される障害福祉サービス「就労選択支援」について、厚生労働省は実施マニュアルを作成し、関連する通知や運営基準などをまとめてウェブサイトに掲載している。5月9日には衆議院議員会館で全国就労移行支援事業所連絡協議会(酒井大介会長)主催の会議が開かれ、就労選択支援の情報や課題を共有した。
就労選択支援は原則1カ月間で、障害者の就労能力などをアセスメントし、多機関によるケース会議を開いて本人に合った働き方を選べるよう支える。これまでこうした手法はなく、障害者の就労能力を十分に把握して適切なサービスにつなげることができず、サービスの利用が固定化されてしまうなどの課題があった。
マニュアルは57ページで、サービスの概要、開始前に必要な調整、サービスの流れを掲載し、先行事例も紹介している。
9日に開かれた会議では厚労省の鈴木大樹就労選択支援専門官が登壇。サービスの中立性を確保するため、事業者が指定申請する際に運営方針や活動内容などを説明して評価を受ける仕組みを設けることや、ケース会議は多機関による多様な見方がある中で開くことを強調した。
昨年度、全国6エリアで実施されたモデル事業の報告もあり、課題として、サービスの目的や意義を理解し、期間が1カ月のため開始前から情報収集やケース会議の調整を行う。本人にアセスメント結果を伝える際はサービスの振り分けにならないよう工夫することが必要だとされた。
酒井会長は「就労選択支援は就労移行支援、就労継続支援などを利用する前段階の支援を制度化するもの。事業者としても大きな期待と責任を伴う新たな挑戦がスタートする」と話した。