オンラインの精神医療、条件付きで初診に導入 厚労省検討会で方針
2025年10月26日 福祉新聞編集部
厚生労働省は20日、精神医療におけるオンライン診療について、現在は認めていない初診も条件付きで認める方針を明らかにした。医師と患者の1対1ではなく、患者のそばに保健師がいるなど所定の条件を満たす場合に導入する。
対象となるのは未治療の人、治療を中断した人、引きこもりの人で、保健所や市町村とつながりのある人。精神疾患の特性上、外出することに二の足を踏む人が一定数いるとされる。オンラインの初診が認められれば、そうした人が医療とつながる可能性がある。
同日の「精神保健医療福祉の今後の施策推進に関する検討会」(座長=田辺国昭東京大大学院教授)で、情報通信機器を用いた診療の「対応の方向性」に盛り込んだ。
検討会では、患者や患者の家族の立場で参加する委員から初診も認めるよう望む意見が挙がっていた。一方、診療側の委員からは、患者の安全面を心配する声や不適切な診療が増えるとする懸念が挙がっている。
実施機関拡充へ
厚労省は、今後もオンライン診療は再診の患者が望む場合に対面診療と組み合わせることを基本としつつ、オンライン診療ができる医療機関を拡充する。
厚労省は2023年3月、精神医療におけるオンライン診療の指針を策定。対面診療との組み合わせを認め、初診のオンライン診療は認めていない。
24年度診療報酬改定ではその指針を踏まえたオンライン診療に報酬が新設されたが、普及していない。政府は24年6月に閣議決定した規制改革実施計画で「初診・再診ともに、より活用される方向で検討する。25年までに結論を出す」としていた。

