幼児吃音10人に1人 国立リハセンター「過去の研究より多い」

2024年0622 福祉新聞編集部

国立障害者リハビリテーションセンター(芳賀信彦総長、埼玉県)は12日、3歳までに吃音の症状が見られる幼児の割合(累積発症率)が8・9%だったとする研究成果を発表した。およそ10人に1人に当たり、過去の研究で分かった累積発症率(5%前後)を大きく上回った。

同センターによると、音の繰り返しや引き伸ばしを主な症状とする吃音はこれまで海外で調査され、日本は海外より少ないとされていた。しかし、今回の研究で、日本が少ないわけではないことが明確になったとしている。

この研究の責任者で、同センター研究所の酒井奈緒美さんは「日本で幼児の吃音に対応できる専門家や施設を増やすことが必要だ」としている。

吃音のあるこどもはないこどもに比べ、家族に吃音のある人がいる割合が高いことも分かった。吃音の原因は体質によるものであり、育て方の問題ではないことを裏付けたという。

調査は2016年7月~18年2月に実施。茨城、神奈川、石川、福岡、徳島の5県の保健センター15カ所で、3歳児健診、3歳6カ月児健診に参加した幼児2000人の保護者に質問し、専門家がその症状を確認した。

吃音は2~4歳児に多く見られる話し言葉の特徴で、その7~8割は発達につれて症状が消える。発達障害者支援法の対象とされ、自閉症や知的障害が併存する場合もある。

日本には吃音の専門家が少ないことから、同センターは21年10月、幼児と接することの多い保育士らに向けたガイドラインを作り、「発達性吃音の研究プロジェクト」の公式サイトからダウンロードできるようにした。