本当の自分、受け入れて 依存症理解へ、トーク&音楽イベント(厚労省)

2024年0326 福祉新聞編集部
自身の経験を和やかに語る前田さん(右端)

厚生労働省は7日、都内で「依存症の理解を深めるためのトーク&音楽ライブイベント」を開催し、神戸を中心に活動するパンク・ロックバンド、ガガガSPが出演した。

 

作曲へのプレッシャーから不眠になり、2010年ごろからアルコールと睡眠薬の依存症になったボーカルのコザック前田さんは依存症からの回復について、「本当の自分を受け入れる時間が必要だ。逆境に直面することで依存を自然にやめられるのがベストだ」と語った。

 

17年には1カ月間精神科病院に入院したという前田さん。依存が止まった現在も月に1回通院していると言い、「入院中、同じ悩みを持っている人と話ができたのが大きかった」と語った。

 

依存の度合いが強かったころの前田さんについてバンドメンバーは「いつも泥酔で、おかしいと気付いたが、本人には怖くて言いだせなかった」「頑張り過ぎる人で、ほどほどにやれなかった」などと証言した。

 

依存症治療が専門の松本俊彦さん(精神科医)は、依存症は話題にしづらく、そのため回復が遅れる人が多いとし、「前田さんのように告白してくれる人がいると、助かる人が増える」とコメント。完治はしないが、失った人間関係などを取り戻す回復はできるのが依存症だと解説した。

 

代表曲「晩秋」などを披露し、舞台で激しく動きまわった前田さんは「自分の半径5メートルを楽しくすること、死ぬまで生ききることがこれからの自分の目標だ」と話した。

 

厚労省は依存症の回復に役立つ情報をまとめた特設サイトを設けており、過去に実施した啓発イベントの動画も公開している。