高齢、障害者の支援住宅 改正法案、市町村が認定へ

2024年0317 福祉新聞編集部

政府は8日、高齢者や障害者ら要配慮者が賃貸住宅へ円滑に入居できる環境整備を進めるため、住宅セーフティネット法改正案を閣議決定した。

 

従来よりも機能を強化した居住支援法人が入居中の暮らしを支える「居住サポート住宅」を市町村が認定する制度を設ける。要配慮者と大家が安心して貸し借りできるようにするのが狙い。施行後10年間で10万戸の認定を目標とする。

 

今の国会での成立を目指す。成立すれば公布から1年半以内に施行される。斉藤鉄夫国土交通大臣は8日の会見で改正案を「住宅と福祉が連携した、地域における居住支援体制の強化を図るもの」と説明した。

 

孤独死や家賃滞納への懸念から要配慮者への貸し出しを敬遠する大家は多いことがかねて課題となっていた。

 

改正案は居住サポート住宅を「居住安定援助賃貸住宅」と呼ぶ。都道府県が指定する居住支援法人による訪問や、人感センサーで安否確認するサービスを備えたものを指す。

 

物件の構造や支援策をまとめた計画を大家と居住支援法人が作り、市町村が認定する。入居中に生活や心身の状況が不安定になった場合は、居住支援法人を通じて介護や就労支援などの福祉サービスにつなげる。

 

大家が家賃を取り損ねないようにする観点からは、要配慮者が利用しやすい家賃債務保証業者を国が認定する。生活保護受給者が入居する場合、保護の実施機関が住宅扶助費を賃貸人に直接支払うことを原則とする。

 

要配慮者に家賃債務保証の提供、住宅情報の提供・相談、入居後の見守りなどを行う居住支援法人は現在、716法人ある。居住支援法人には補助金が出るが、半数は赤字だ。国交省、厚生労働省、法務省が共催した検討会は昨年12月、居住支援法人の機能強化を柱とした中間報告をまとめていた。