拒食症を脳の形態異常で診断へ 国立精神・神経医療研究センターが初の大規模調査

2024年0201 福祉新聞編集部

国立精神・神経医療研究センターは1月18日、拒食症の女性の脳の体積が健康な女性と比べて少ないことが初の大規模調査で分かったと発表した。現在、拒食症の病態は解明しきれておらず、正しく診断するのが難しい。同センターは、この研究成果により脳の形態異常を診断や治療に活用することが可能になるとみている。

 

東北大などの研究グループが2014年5月から約5年間、日本国内の103人の女性拒食症患者と102人の健康な女性の脳MRI画像を比較分析した。拒食症の脳MRI画像を100例以上集めたのは世界最大規模という。

 

同センターによると、拒食症の患者の脳で、灰白質体積が顕著に少ないのは小脳、視床など。脳灰白質とは脳の表層部に集中する神経細胞体の領域で、思考や感情などの高次脳機能を担っている。

 

拒食症は極端に食事制限をしたり、食後に吐き出したりすることで正常な体重より低くなる疾患。進行すると生命にかかわる。摂食障害の一つで、障害福祉施策によって治療拠点が整備されている。

 

厚生労働省の統計によると、摂食障害の入院患者は約1万人、外来患者は約20万人。10~40代の女性患者が多い。