社会モデルの理解を 文科省検討会が障害学生支援で報告案

2024年0129 福祉新聞編集部

改正障害者差別解消法が4月に施行されることに伴い、文部科学省の有識者会議は22日、障害のある大学生らの修学支援に必要な考え方を盛り込んだ報告書案を、大筋で了承した。障害は障害者個人ではなく、社会の側にあるという「障害の社会モデル」の考えを学校側の構成員全員が理解して取り組むことが必要と指摘した。

 

また、合理的配慮が必要だとする根拠資料の提出を学生に求めることを、合理的配慮を提供する「条件」にしないようくぎを刺した。根拠資料の提出自体が困難な場合があることを考慮した。文科省は年度内に報告書を決定し、公表する。

 

改正法により、これまで国公立大で義務化されていた合理的配慮が私学でも義務化される。それを踏まえ、2023年5月から「障害のある学生の修学支援に関する検討会」(座長=竹田一則・筑波大教授)が、各校が整えるべき修学支援体制の考え方を議論してきた。

 

報告書案には「入試における合理的配慮」「ICT(情報通信技術)機器の活用」「紛争の防止・解決のスキーム」「就職支援」といった事項について、それぞれ学校側が留意すべきことや、差別的な取り扱いになりかねないことを具体的に挙げた。

 

合理的配慮とは個別の具体的な場面における、過度な負担にならない程度の配慮を指す。報告書案は、学校側と学生が互いの現状を認識しながら話し合う「建設的対話」を最も重視した。

 

大学、短大、高等専門学校で学ぶ障害学生は22年5月1日現在4万9672人で、その7割が私学だ。障害のある学生は過去10年間で4倍に増え、特に発達障害、精神障害の学生数が伸びている。