改正旅館業法受け、障害者配慮で例示 厚労省検討会が指針案

2023年1023 福祉新聞編集部

旅館業法の改正で旅館やホテルが迷惑客を拒めるようになることを受け、厚生労働省の検討会は10月10日、宿泊を拒否できる迷惑行為の具体例を盛り込んだ事業者向けの指針案をまとめた。土下座や不当な割引の要求などを例示する一方、宿泊拒否できない事例として「障害者が旅館側に合理的配慮を求めること」を明記した。

 

車いす利用者がベッドに移動する際に介助を求めること、精神障害のある人が静かな環境の部屋を求めることなどを例示した。指針は意見募集を経て、正式決定する。改正法は年内に施行される。

 

旅館業法は宿泊拒否を禁じているが、今年6月の改正で、従業員の負担が過重となるような要求を繰り返す迷惑客については、例外として宿泊を拒むことが可能になった。

 

一方、障害者団体からは、「事業者の判断で障害者が排除されかねない」とする不安の声が続出。国会の付帯決議も旅館業者が障害者差別解消法を順守すること、障害を理由とする宿泊拒否はできないことを明記した。

 

これを踏まえて厚労省は7月、改正旅館業法の円滑な施行に向けた検討会(座長=玉井和博・立教大特任研究員)を立ち上げており、指針の策定を進めてきた。