太鼓に合わせリズム取り 知的障害者事業所で4年ぶりの祭り(世田谷)

2023年0926 福祉新聞編集部
利用者たちも太鼓を楽しんだ

トントントン、ドドーン、ドン。迫力満点の太鼓の音も響いた。東京都世田谷区の区立千歳台福祉園(社会福祉法人せたがや樫の木会運営)で9月16日、第19回秋桜こすもす祭まつりが開かれ、利用者や家族、地域の人たちが4年ぶりの祭りを楽しんだ。

 

同園は知的障害者生活介護事業所で利用者50人の平均年齢は33・5歳。祭りは利用者が制作した陶器や衣類などを発表、販売し、盆踊りなどイベントで地域の人たちと交流する場だった。コロナ禍で中止されていたが、今年は旧に復しての開催となった。

 

主催者あいさつ、来賓祝辞などセレモニーが済むと、都立深沢高校和太鼓部の卒業生グループ深沢組3人による力強い和太鼓演奏で開幕。大きな音にも利用者たちは怖がることなく、太鼓に合わせ手を上げ、いすから飛び上がらんばかりに感動を表現していた。演奏の後には利用者やこどもたちもばちを持って思い思いに太鼓や小太鼓を楽しんだ。

 

和太鼓演奏をした金森孝治さんは普段は会社員。太鼓は高校生以来趣味で続けていると言い、「障害があっても同じ地域の仲間。彼らは太鼓の音やリズムが好きみたいで、それが私たちにも分かる。一緒に楽しんでくれるのでうれしい」と話した。

 

祭りに欠かせない出店は当初、親たちが担っていたが、高齢化により難しくなった。地域に根差した祭りにするため、祭りの趣旨を説明し、地域の飲食店に協力を仰いだ。さば寿司、チャーハン、焼きそば、カレー、ポン菓子などの出店が並び、昼時には行列ができるほどの人気ぶりだった。

 

午後には、地域婦人会などによる盆踊りやバンド演奏、ダンスパフォーマンスも披露された。

 

祭りの後、大野一徳施設長は「地域の人たちから『最高のお祭りでしたね』と声を掛けられた。コロナ禍で失ったものを十分取り戻せた」と顔をほころばせた。