アセスメント力などが課題 就労選択支援のモデル事業報告会

2025年0326 福祉新聞編集部
課題などが報告された

厚生労働省は13日、10月に始まる新たな障害福祉サービス「就労選択支援」について、全国6カ所で行ったモデル事業((株)インサイトに委託)の報告会を開いた。参加した障害者や家族から肯定的な評価があった一方、就労選択支援員にはアセスメント力や、多機関との調整力、地域資源の知識などが求められる課題もみえた。

就労選択支援は原則1カ月間で、障害者の就労能力などをアセスメントし、多機関によるケース会議を開いて本人に合った働き方を選べるよう支える。10月から、まず就労継続支援B型の新規利用希望者が対象となる。

実施主体は、過去3年以内に3人以上を雇用に結びつけた実績のある就労移行支援事業所、就労継続支援A型、B型事業所などとされ、配置する就労選択支援員は養成研修の修了が要件となる(経過措置あり)。アセスメントでは高齢・障害・求職者雇用支援機構(JEED)が開発したツールの活用を標準とし、ケース会議には障害者本人が参加することを求める。

モデル事業に参加した森敏幸清流障がい者就業・生活支援センターふなぶせ所長(社会福祉法人舟伏)は「地域の社会資源を知らないとうまくいかない。本人のニーズが変化するので1カ月では余裕がない」と話し、中島哲朗障がい者職場定着推進センターあしすと所長(社会福祉法人あしーど)は「どのアセスメントシートが良いかではなく、障害者に説明するのにどんな様式を使うか工夫する必要がある」と述べた。

ほかに、福祉、雇用、教育、行政などのネットワークが必要で、就労選択支援員は養成研修で基礎を学び、実践の積み重ねが求められる。障害者本人と支援者の評価が異なる場合のすり合わせや、都市と地方で状況が異なることも課題とされた。

モデル事業にかかわった酒井大介全国就労移行支援事業所連絡協議会長(社会福祉法人加島友愛会)は「就労選択支援が地域で機能すれば、障害者が最大限、力を発揮し社会で働ける一助になる」と強調した。

報告会は都内の会場とオンラインで行われた。受講者は3000人を超え関心の高さがうかがえた。

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