原宿に新たなカフェ「D&I原宿」がオープン 一般客と障害者らが同じ空間でランチ(睦月会)
2025年03月27日 福祉新聞編集部
ダイバーシティー(多様性)とインクルージョン(包括)を店名にしたカフェ「D&I原宿」が、東京都渋谷区の竹下通り近くにオープンした。ピアノの生演奏が流れ、明るくゆったりできる店内では、カフェの一般客と重度障害児・者が同じ空間でランチを食べる、これまでなかった交わりが生まれている。
カフェは社会福祉法人睦月会(綿祐二理事長)が指定管理者として運営する障害児・者多機能施設「渋谷区りばぁさいど原宿」の1階にあり、児童発達支援、生活介護の利用者がカフェで一般客に交じってランチを食べるようにした。法人の理念「重い障害のある人が地域で当たり前に生活する」ことを具現化する一環だ。
カフェの営業は平日午前11時半~午後2時半。パスタやハンバーグのほか、日替わりランチは施設の利用者と同じメニューを提供している。連日、地域住民、若者、サラリーマンらでにぎわっており、綿理事長は「お客さんは障害者がいることを不思議がることもない。交わることが自然な風景になってきた」と話す。
さらに、カフェでは生活介護の利用者が交代で働いている。レジの横で「注文は何にしますか」などと接客。言葉が出ない利用者はボタンを押すと「いらっしゃいませ」などの音声が出る機器を使ってコミュニケーションを取る。重度障害者が働くことは難しいとされる中、カフェで働く女性利用者の保護者は「こどもがいい表情をしている。施設ではできることを一緒に探してくれる」と感謝する。
今後、カフェのメニューを増やし、午後5時まで営業して放課後等デイサービスの利用者も働けるようにする。週末の夜にバーを開く計画もある。綿理事長は「インクルーシブな空間をつくっていくことで周りが変わっていくことが包括的なサポートだ」と話す。カフェで働く生活介護利用者の工賃月5万円も目標に掲げる。