訪問介護、経営が深刻 3団体が厚労省に要望

2025年1120 福祉新聞編集部
左から吉田慎厚労省老健局認知症施策・地域介護推進課長、田尻会長、松下会長

全国ホームヘルパー協議会(田尻亨会長)、日本ホームヘルパー協会(松下みゆき会長)、日本介護福祉士会(及川ゆりこ会長)は6日、厚生労働省の黒田秀郎老健局長宛てに、訪問介護の基本報酬の引き上げなどを求める要望書を提出した。2024年度の介護報酬改定で基本報酬が引き下げられた影響がより深刻になっているとして、事業継続を可能とする仕組みづくりを求めている。

24年度の介護報酬改定では、施設サービスも含めた全体で1・59%プラスだったが、訪問介護は基本報酬が約2%引き下げられた。その結果、同年に休廃業や倒産などで市場から撤退した訪問介護事業者は500件を超え、最多を記録した。25年はさらに上回るペースとなっている。

一方で、厚労省の審議会では現在、人口が減る地方などでのサービス体制について議論。訪問系サービスは移動の負担が大きいことから、現行のサービス回数に応じた出来高報酬と、利用回数に左右されない月単位の定額報酬を選択できる仕組みを検討している。

これを踏まえ3団体は、次期報酬改定の前に基本報酬を引き上げるよう要望。同時に地域に根ざした訪問介護事業所が継続的に運営できる体制強化を求め、具体的には十分な月単位の定額報酬額を設定するよう訴えた。

また、利用者の状態把握やケアマネジャーとの調整などを行うサービス提供責任者については専門性が評価されていないと指摘。配置要件を介護福祉士に限定した上で、処遇に反映する仕組みも要望している。

このほか要望書には、初任者研修を受講しやすくする環境整備なども盛り込まれている。

0 Comments
インラインフィードバック
すべてのコメントを見る