介護産業の構造転換を 社会保障テーマに議論〈財務省〉
2025年11月16日 福祉新聞編集部
財務省の財政制度等審議会財政制度分科会が5日に開かれ、2026年度の予算編成に向けて社会保障などをテーマに議論した。財務省は、過去30年間にわたり医療や介護産業の生産性が伸び悩んだまま、就業者数を増加させてきたと指摘。収入を構造的に増やすには、効率的で持続可能な産業構造への転換が不可欠だと訴えた。
介護や医療、保育など「保健衛生・社会事業」で働く人は1994年に350万人だったが、2023年には921万人に増加。この間、総就業者数の増加は約160万人にとどまっていることから、財務省は「介護・医療産業への労働投入の増加は際立っている」と指摘した。
その上で、人口増加期につくられた経済社会システムを中長期的に持続可能な構造へ転換することは避けられないと指摘。医療・介護産業が、成長型経済の実現に寄与するためには、より少ない労働投入量で質の高いサービスを提供できるよう産業構造の転換を求めた。
特に医療分野については、足元の物価や賃金動向の変化だけに着目して対応することは適当でないと強調。高齢者医療における自己負担や保険料負担の見直しなどを訴えた。
介護保険に関しても、上場株式などの譲渡や配当などを確定申告するかどうかで、保険料負担割合が変わる現状を是正するよう求めた。

