特別養護老人ホームが開設した「くらしの保健室」 地域の高齢者が集まる場(名栗園)
2026年03月11日 福祉新聞編集部
埼玉県飯能市を拠点に高齢者を支援している社会福祉法人名栗園(池田徳幸理事長)は、くらしの保健室「こすもす倶楽部」を2024年6月に開設した。集会場がなかった地域で、高齢者の居場所づくりを支えている。健康管理や多世代交流の場としても好評だ。
会場は特別養護老人ホームあしかり園の敷地内に設置している「地域交流館なぐりえん」を活用している。この建物は、あしかり園の建て替えと同時に整備した。地域に開かれた場所として、さまざまな用途で誰でも利用してもらえるよう設置した。
こすもす倶楽部の開設に当たり、社会福祉協議会など地域の関係機関を招いて周知した。広報の後押しもあり、当初から多くの人が来訪した。開設2年目を迎えた現在も、利用者は安定して足を運んでいる。
1月下旬、同倶楽部に地域の高齢者ら約25人が集まった。食事、軽い運動、健康相談、日中の居場所など目的はさまざまだ。
90歳を超える利用者は「ここに来て、皆さんとお話しするのが何より楽しい」と語る。元気の秘訣だという。
同倶楽部は毎週水曜日の午前10時~午後3時に開いている。参加費は無料だ。施設がある精明地区の住民には送迎もしている。昼食は300円で食べることもでき、それを楽しみに来ている人もいる。平均の参加者は25人前後で、イベントがある時は40人ほどになることもある。
立ち上げたのは、法人が運営する地域包括支援センターで働く看護師の西原由紀さんと保健師の東條妙子さん。西原さんは「精明地区には高齢者が外出するきっかけとなる居場所がなかった」と説明する。
同地区は人口約2600人の小さな地域。住宅と田畑が多く、高齢化率は42%を超える。コロナ禍で交流が減ったこともあり、誰でも予約なしで無料の健康相談ができ、敷居が低く居心地の良い場所をつくろうと企画した。
西原さんは「ボランティアの人がこどもを連れて来たり、夏休みには小学生が避暑で訪れたりする。多世代交流が生まれ、利用者も喜んでいる」と話す。
同法人が地域の居場所づくりに力を入れてきた歴史は、1982年のシルバールーム「ふれあい」までさかのぼる。高齢者の休憩や交流、相談の場として開設された。
その後も各施設に地域との交流の場を整備してきた。2008年に開設したケアセンター岩槻名栗園内の交流室では、地域に開放し、近隣のクリニックや薬局と連携したイベントも毎年開催している。
こうした取り組みは、同法人が日ごろから実施している社会貢献活動の一環として、こすもす倶楽部へとつながっており、地域になくてはならない居場所になっている。
西原さんは「利用者ができる限り自宅で暮らしたいという思いを、こすもす倶楽部で楽しくかなえられるよう、今後も頑張りたい」と話した。
社会福祉法人名栗園 1969年に法人設立。特養「名栗園」の運営開始以来、50年以上地域の高齢者を支える。本部のある飯能市に加え、八潮、川口、さいたま市岩槻区と複数の地域で事業を展開している。

