入居者殺害事件受け、施設の防犯点検を要請〈厚労省〉
2025年10月30日 福祉新聞編集部
埼玉県内にある有料老人ホームで入居者2人が殺害された事件を受け、厚生労働省は16日、全国の自治体に対して、福祉施設の防犯に関する事務連絡を出した。
同県鶴ケ島市の介護付き有料老人ホーム「若葉ナーシングホーム」で15日、入所していた高齢女性2人が死亡した。殺人容疑で逮捕された木村斗哉容疑者(22)は元職員で、職員用出入り口の電子ロックを4桁の暗証番号を入力して解錠し、侵入したとみられている。
厚労省は2016年、神奈川県相模原市にある津久井やまゆり園での殺傷事件を踏まえ、福祉施設の防犯対策に関する課長通知を出している。
今回はこうした防犯に関する点検項目などを改めて周知したものだ。
通知は、地域に開かれた福祉施設と、外部不審者に対する安全を確保する福祉施設の両立には、規模などを問わず、日ごろから設備点検や職員研修、関係機関との協力体制が重要だと指摘した。
その上で点検項目として、来訪者の入り口を明示して外部の出入りを確認することや、各出入り口の解錠時間を整理することなどを提示。また、夜間に人を感知するセンサーライトの整備や、夜間の出入りは警備員室の前を通る動線とすることなども記している。
このほか、玄関やサッシなどに補助錠を取り付けることや、植木などのせん定により建物が外周から見通せる環境にすることなども盛り込まれている。
17日の閣議後の記者会見で福岡資麿厚労大臣は「安全なサービス利用に向けて必要な対応に万全を期したい」と話した。

