介護報酬臨時改定、来年6月に 処遇改善の要件も追加

2025年1221 福祉新聞編集部

厚生労働省は12日、社会保障審議会介護給付費分科会(分科会長=田辺国昭東京大大学院教授)を開催した。会合で厚労省は2026年6月に、臨時で介護報酬を改定すると発表。その際の処遇改善加算の要件として、生産性の向上や協働化に向けた取り組みを新設する方針を示した。

3年に1回の介護報酬改定は次回27年度に行われる予定だが、長引く物価高騰などの影響も踏まえ、政府は26年度にも臨時で改定する方針を示していた。また、25年度補正予算案には、25年12月から26年5月までの半年にわたり介護職員やケアマネジャーらを対象に、要件付きで賃金を月1万円引き上げることが盛り込まれた。

同日の会合で厚労省は、26年度改定では確実に賃上げにつなげることが重要だとして、現行の処遇改善加算を拡充することを提案。補正予算案による賃金引き上げが26年5月までであるため、施行時期を26年6月とした。

その際の処遇改善加算は介護職員以外の介護従事者を新たに対象とした。算定対象は、訪問看護や訪問リハビリテーション、居宅介護支援などを挙げた。

さらに処遇改善加算の要件については、生産性の向上や協働化に向けた取り組みを追加する方針を示した。具体的には、施設や居住サービスには生産性向上推進体制加算の取得を追加。訪問や通所サービスにはケアプランデータ連携システムの導入などを想定する。

月2万円増求める声

会合で全国老人福祉施設協議会の小泉立志副会長は「26年度予算でも補正予算を基礎としたプラスアルファの処遇改善が不可欠だ」と強調。一方で、処遇改善が保険料や利用者負担につながる可能性を懸念し、公費負担割合を引き上げるべきと訴えた。

全国老人保健施設協会の東憲太郎会長は来年の春闘で賃上げが進むことで、介護分野と他産業との差がさらに開くことを懸念した。26年度報酬改定では思い切った手当が必要だとして、全介護従事者の賃金を月2万円引き上げるための財源確保を求めた。

全国市長会の長内繁樹大阪府豊中市長は、今回の処遇改善は市町村の介護給付費準備基金を財源としていることに触れ「基金は不測の事態に備えての積み立てだ。基金の取り崩しを前提に期中改定を実施することには大きな違和感を覚える」と語った。

0 Comments
インラインフィードバック
すべてのコメントを見る