住居+終活を支援 身元保証は不要、無縁仏は供養〈三浦市社協〉
2026年01月27日 福祉新聞編集部
三浦市社会福祉協議会(杉山実会長、神奈川県)は15日、65歳以上の高齢者が暮らすシェアハウス「みうらん家(ち)」を開設した。身元保証人なしで入居できるのが特長。緊急時の連絡先などを預かる「終活情報登録事業」、葬儀費用などを預かる「エンディングサポート事業」も始め、そのどちらかを利用することが入居の条件だ。入居者はまだいないが、無縁仏の供養にも対応する異例の終活支援が始まった。
「何もできなかったな」-。シェアハウスを企画した若手グループのリーダー森祐貴さん(37)は同日の開所式で吐露した。
2025年12月、アパートで1人暮らしの男性(80代)を安否確認のため訪ねたところ、男性の遺体を見つけた。「病気はない人だった。みうらん家に住んでいれば今も元気だったかも」。そんな思いが拭えないという。
元保養所の宿舎改装
身元保証や死後事務にまつわる相談が市内でも急増し、対策を検討した結果が「みうらん家」だ。三浦市ならではの特長は三つ。
第1に家主は社協で、建物(平屋)は社協の敷地内にある。県が廃止した保養所を20年前に買い取り、敷地内の職員宿舎を認知症グループホーム(GH)として他法人に貸してきた。
25年3月にGHが移転したのを機に、4畳半の個室7部屋のシェアハウスに刷新。家賃は月3万9800円、共益費1万5000円、敷金・礼金、更新料はなしとした。
訪問看護で看取りも
第2に、元保養所を使った4階建ての社協には、訪問看護ステーションや看護小規模多機能型居宅介護、地域包括支援センター、障害者の就労支援B型事業所などが入っている。
「みうらん家」に住めば、困り事があってもすぐそばの社協に頼れる。条件を満たせば「在宅看取り」もしてもらえる。B型事業所が作る弁当の宅配も可能だ。
第3に、社協が無縁仏の供養塔を持つ。市の火葬場にあり、建立は1964年。以来、市内で見つかった身元不明の遺骨を納め、現在157柱が眠る。お彼岸には供養を行う。
遠洋漁業の盛んな町で、海難事故も少なくないため、地元の漁業協同組合の組合長でもあった初代の社協会長が建立をけん引した。身寄りなし問題が取り沙汰される昨今、その歴史が再び注目される。
空き家再生モデルに
三浦市は高齢化率が41・6%と県内でトップクラス。2025年12月現在の人口は3万8924人で、ピーク時(1994年)より3割少ない。
県内の市で唯一「消滅可能性都市」(日本創生会議)とされ、市内の空き家率は9・3%。これも県内の市で最も高い。森さんは「みうらん家を空き家再生のモデルにしたい」と意気込む。
社協が終活情報登録事業やエンディングサポート事業の参考にしたのは隣の横須賀市の取り組みで、開所式に参列した同市民生局福祉専門官の北見万幸さんは、このようにエールを送った。
「三浦市社協の取り組みは住まいと絡めて日常生活に濃厚に関わるもので、とても勇気ある決断だ。入居者の息抜きと生き抜くことを支える点で、全国をリードするモデルになるだろう」

