養護老人ホーム、運営費財源の正しい理解を 兵庫県老人福祉協が研修会

2025年1210 福祉新聞編集部
左から末松信介自民党参院議員、上月議員、総務、厚労省の担当者

兵庫県老人福祉事業協会養護部会の研修会が10月31日、神戸市内で開かれ、養護老人ホーム施設長、自治体担当者らが参加した。同ホームの入所者が増えると自治体の費用負担も増えるというのは誤認識であり、正しい仕組みを学び、同ホームが地域のセーフティーネットを担っていく思いを確認し合った。

同ホームへの入所は自治体が老人福祉法に則って措置(決定)することになっているが、施設運営費の負担が増えるのを嫌って入所者を措置しない「措置控え」により、入所率は年々低下している。また、大半の自治体で施設運営費の単価が2006年のまま据え置かれているため施設運営は危機的状況にある。

しかし、実際には施設運営費は地方交付税で手当てされ、入所者が増えると自治体の負担が増えることはない。また、自治体は本来、地方交付税に組み入れられている施設運営費に合わせて単価を増額する必要がある。このことは同日、登壇した総務、厚生労働省の担当者も間違いないとしており、すでに両省から関連する通知も出ている。

ただ、地方交付税の仕組みや単価増額の算定が複雑なため、自治体の理解が追い付いておらず、対応が進んでいないのが現状だ。

一連の動向を詳説した菊池譲社会福祉法人ナザレ園副理事長(茨城県那珂市)は「措置控えではなく、措置知らずだ。地方交付税に入ってくるので財源問題はない」と強調。那珂市は単価を増額してくれたが、理解してもらうのに難儀したことも語った。

同ホームの問題に詳しい上月良祐参院議員(自民党)は「必要な人が同ホームに入所して人生を立て直してもらいたい」と語り、自治体に単価増額を堂々と要求するよう促した。

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