高齢者終身支援で業界団体 独自審査で会員の質を担保
2025年12月10日 福祉新聞編集部
身寄りのない高齢者らの身元保証などを引き受ける民間事業者の全国団体が11月26日、都内で設立記念フォーラムを開いた。身寄りのない人と接する機会が多い行政機関や社会福祉協議会などの信頼を得るため、独自の審査基準をクリアした事業者を会員とすることで質を担保する。業界内で自主規制しつつ、将来的には法制度に基づく監督機能の創設につなげる考えだ。
開催したのは一般社団法人全国高齢者等終身サポート事業者協会(理事長=黒澤史津乃OAGウェルビーR代表、東京)で、今年8月に発足した。略称は全終協とした。
「空白を埋める」
黒澤理事長は「高齢者の意思決定と実行を支援する機能はこれまで家族が担ってきたが、近年はその機能が弱体化し、大きな空白地帯が生まれた」と事業の背景を説明した。
そこを埋める制度が確立していない現状に触れながら「私たちの事業はその空白を埋める解決策の一つだ」とし、事業の透明性を徹底する質の高い事業者集団を目指すと宣言した。
終身サポート事業は(1)日常の見守り(2)病院や介護施設に入る際の身元保証(3)葬儀や埋葬といった死後事務――を指す。高齢者らがあらかじめ対価を支払って契約する。現在、法規制はなく、容易に事業参入できる。
総務省の調べでは全国に400超の事業者があり、契約内容をめぐるトラブルも絶えない。内閣官房は2024年6月に事業者向けの指針を作ったが、拘束力はない。
同日のフォーラムで全終協は正会員になるための審査基準を紹介した。特に解約する際の返金ルールや、利用者からの寄付・遺贈の扱いルールなどを詳細に説明した。
9府省庁の幹部参列
この事業は医療・介護だけでなく金融、住まい、葬儀といった業界と接点を持つため、それぞれを監督する府省庁が計九つに上る。同日はその幹部が来賓として参列したほか、厚労省からは老健局長、社会・援護局長があいさつした。

