離島の現状ヒアリング サービス維持求める声〈厚労省介護保険部会〉

2025年0806 福祉新聞編集部

厚生労働省の社会保障審議会介護保険部会(部会長=菊池馨実早稲田大理事)が7月28日に開かれ、関係団体からヒアリングを行った。多くの離島を抱える自治体から、介護サービス維持の支援を求める声が出た。

ヒアリングには長崎県の新田惇一福祉保健部長、千葉県柏市の吉田みどり健康医療部理事、静岡県立短大の鈴木俊文教授が参加した。

長崎県には住民が住む離島が72島あり、高齢化率は43%。採算性の問題などから、介護サービスが限られているのが現状だ。特に人口200人未満だと、利用者が本島へ渡航して介護サービスを受けることもあるという。

新田部長は「一般財源などで介護サービスを受けるための渡航費や、事業所への加算などの支援をしており、市町には財政負担が大きい」と指摘。利用者宅への移動時間も評価するなど制度の見直しを求めた。

一方、人口44万人の柏市では、市内を13圏域に分けて地域包括支援センターを配置し、社会福祉法人などが運営。重層的支援体制整備も行っており、2024年度の総合相談は1万7000件を超えている。

吉田理事は、地域組織の脆弱化や高齢者の増加などでセンターの負担が増えている現状を説明。「市民にもこれまでのような将来図は厳しいという現実を理解いただくことも必要だ」と語った。

鈴木教授は24年度の職業紹介が589人で全国1位だった静岡県社会福祉人材センターの取り組みを紹介した。

同センターは、介護事業者や養成施設などと連携し、人材確保研究会の開催や、大学への出前講座、大学と施設の意見交換会などの催しを企画していた。鈴木教授は「単なる形式的な情報共有の場ではなく、実践的な取り組みが可能となる複数のネットワークをつくることが必要」と語った。

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