全産業と介護職の給与差8万円 委員から格差是正求める声相次ぐ(厚労省)

2025年0331 福祉新聞編集部

厚生労働省は3月24日、社会保障審議会介護給付費分科会(分科会長=田辺国昭東京大大学院教授)を開催した。会合では、全産業平均と介護職の月給の差が8万円以上あることが示され、委員からは格差是正を求める声が相次いだ。

会合で厚労省は2024年度介護従事者処遇状況等調査の結果を公表。参考資料として、賃金構造基本統計調査による賃金の推移を示した。

同調査によると、24年における全産業の賞与込み平均月給は38万6000円。これに対して、介護職は30万3000円で、差は8万3000円だった。

23年は全産業が36万9000円で、介護職が30万円。差は6万9000円だったことから、大きく差が開いていた。ただ、今回の調査は昨年6月時点であるため、24年度介護報酬改定の処遇改善に向けた見直しは反映されていない。

「人材不足が深刻化」

これに対し全国老人福祉施設協議会の小泉立志副会長は「全産業平均との乖離は解消されておらず、実質的に介護職の賃金が目減りしている」とし、人材不足が一層深刻化すると指摘。国内全体の介護職数も減少しており、介護サービスの維持自体が厳しくなると危機感を示した。

同様に日本介護福祉士会の及川ゆりこ会長も、全産業平均との乖離に危機感を示し「十分な処遇改善が図られているとは思えない。より適切な評価が必要だ」と訴えた。

また、全国老人保健施設協会の東憲太郎会長は、現在の処遇改善加算は介護職以外にも配分できるため、介護職への配分が薄くなるのは当然と指摘。「このままだと人材は流出する」と述べ、全職種が処遇改善の対象とする規模で財源を確保するよう求めた。

全国市長会の長内繁樹豊中市長は「持続可能な制度とするためには、報酬改定を待たずに必要な見直しを行う仕組みが必要ではないか」と提案した。

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