訪問介護、報酬減で赤字転落 ヘルパー不足も加速(全国コープ福祉事業連帯機構)

2024年0815 福祉新聞編集部

全国コープ福祉事業連帯機構(東京都渋谷区)は、訪問介護の基本報酬が4月の介護報酬改定で減額された影響を把握するため、14会員法人(127訪問介護事業所)を調査した。14会員法人の訪問介護事業における4、5月の合計事業収入は前年同時期に比べて1・3%(1738万円)減り、赤字に転落した。利益率はマイナス0・7%で3ポイント悪化したことも分かった。

5月末時点の直行直帰型のヘルパー数は合計2099人で、前年同時期に比べて7・2%(162人)減少した。ヘルパーの高齢化が主な原因とされる。また、人材紹介を利用しているのは11会員法人で、紹介手数料はケアマネジャーや常勤ヘルパーで年収の30%などだった。

自由記述では「ヘルパーの働く意欲の低下につながっている」「ヘルパーやサービス提供責任者(サ責)の高齢化で5年後の事業を見通すことが困難」などの声があった。

7月29日に会見した山際淳同機構常務理事は「赤字は基本報酬が下がった影響が大きい。ヘルパー不足で訪問回数が3~4%減り、サ責がヘルパーも兼務しているが補いきれていない」と説明。また「利用者と一緒に考え、自立を促すケアをすることで、生活援助から単価の高い身体介護に替える対策もしているが、カバーしきれていない」と述べた。

同機構は福祉事業を行う生活協同組合のグループ。生協を母体とする七つの社会福祉法人を含めて会員法人は45。「生協10の基本ケア」の普及、経営基盤の強化、政策提言などを行っている。