ホームへルパー協「訪問介護なくなる」 報酬切り下げに抗議

2024年0214 福祉新聞編集部
間局長(左)に文書を手渡す田尻会長(右奥)と境野会長

全国社会福祉協議会・全国ホームヘルパー協議会(田尻亨会長)と日本ホームヘルパー協会(境野みね子会長)は1日、厚生労働省に対して、2024年度の介護報酬改定で訪問介護が切り下げられることについて抗議文を提出した。このままでは訪問介護がなくなる地域が出てくると懸念している。

 

政府は昨年末、24年度の報酬改定について全体で1・59%増やすことを決定。年明けに具体的な改定内容が明らかとなり、特別養護老人ホームや通所介護、訪問看護、訪問入浴などはすべて報酬が増えていた。

 

しかし、訪問介護については、身体介護や生活援助などすべての報酬が減額となった。理由について厚労省は、22年度の経営実態調査で、訪問介護の収支差率が7・8%と、ほかのサービスよりも高かった点などを挙げている。

 

抗議文は「報酬単位が小さい訪問介護のみが引き下げられたことは私たちの誇りを傷つけ、さらなる人材不足を招くことは明らか。断じて許されない」と強調。人材不足や物価高騰などで閉鎖や倒産する事業所が増え、訪問介護が受けられない地域が広がるとの懸念を示した。

 

同日、田尻、境野両会長は厚労省を訪れ、抗議文を提出。厚労省側は間隆一郎老健局長が対応した。

 

同協議会は「多くの事業所が、すでにギリギリの状況だ。さらに報酬が減ればDX(デジタルトランスフォーメーション)化も進まず、従事者の高齢化や人材不足といった悪循環に陥る」と懸念を示した。