都内の特養待機者32%減 過剰な施設整備に警鐘(高齢協調査)

2024年0208 福祉新聞編集部

都内特別養護老人ホームの2023年3月末時点の入所待機者は3万6362人で、前年度より32%(1万6629人)減ったことが1月22日、東京都社会福祉協議会高齢者福祉施設協議会の調査で分かった。

 

都の22年度調査でも在宅、要介護3以上で入所優先度の高い人は、19年度調査より21%減って3016人だった。今後の特養整備について宮澤良浩・高齢協制度検討委員長は「職員不足で入所者を受け入れられない施設もある中、職員確保と両輪で進めないと『負の資産』が残ってしまう」と警鐘を鳴らす。

 

高齢協の調査は15年度から行われており、今回は会員特養320施設が回答した(回収率62%)。

 

入所希望者1人が申し込める施設数について、大半(207施設)が「制限なし」と答え、申し込み者のうち施設所在地の自治体以外の人が全体で2割いた。また、施設が入所案内をして断られた人数は8人(中央値)で、最大では105人との回答もあり、これらのことから待機者に一定程度「お守り的申し込み」があるとされる。

 

申し込み者の医療ニーズが増える一方で、待機者が入所に至らない理由は「医療依存度が高い」が9割で最も多い。ニーズと特養の受け入れ対象者とのギャップもみられる。

 

回答した特養の定員総数2万8612人に対し、1年間の退所者は7588人。退所率は26・5%となるが、これを全会員特養の定員総数(4万7000床)で推計すると、1年間で約1万2000床が新規入所可能とされる。宮澤委員長は「一般的には特養にすぐ入所できないと思われているが、短期で入所可能な時代に変化してきている」と話している。