2022年度介護職員の虐待、856件で過去最多 2割超が過去にも 

2024年0111 福祉新聞編集部

厚生労働省は12月22日、2022年度に介護施設職員による高齢者虐待が856件(前年度比16%増)あり、虐待を受けた高齢者は1406人(3%増)で、いずれも過去最多となったと発表した。また、856件のうち2割超(182件)は過去にも虐待を起こしていた。厚労省は「要因の改善が不十分と考えられる。虐待防止の実効性を確保することが重要で、必要な方策を検討したい」とした。

 

虐待があったのは特別養護老人ホーム、有料老人ホーム、認知症グループホームの順に多く、虐待した職員1024人の8割が介護職。内容は身体的虐待が最多で、心理的虐待、介護放棄と続く。全体の2割で身体拘束もあった。虐待理由は「教育・知識・介護技術の問題」「職員のストレス」「虐待を助長する組織風土」が多かった。

 

一方、相談・通報件数も2795件(17%増)で最多を更新した。

 

厚労省は「職員研修の実施、相談窓口の周知などを通じて高齢者虐待に対する意識の高まり、虐待と認識されなかったケースの顕在化などが考えられる」とした。

 

24年度から介護事業者に対し、虐待防止の委員会設置、研修会開催が完全義務化される。未措置の場合は基本報酬が減算される。

家庭内虐待死32人

家庭内虐待の相談・通報件数は3万8291件(5%増)で過去最多。虐待件数は1万6669件(2%増)で高止まり傾向にあった。虐待を受けた高齢者1万7091人の8割が女性。要介護認定済みが7割で、認知症日常生活自立度は中度(Ⅱ、Ⅲ)が6割を占めた。死亡者は32人だった。