特養の協力医療機関に3要件 入所者情報共有を評価(厚労省案)
2023年11月25日 福祉新聞編集部厚生労働省は16日、社会保障審議会介護給付費分科会を開き、特別養護老人ホームの2024年度介護報酬改定における対応案を示した。入所者急変時の対応力を強化するため、特養の協力医療機関に新たに一定の要件を満たすことを義務付け、1年の経過措置を設ける。協力医療機関には在宅医療を担う在宅療養支援診療所などを含め、往診での対応も充実させる。
協力医療機関の要件は▽急変時に夜間休日を含め相談に応じる▽診療の求めに応じて夜間休日を含め診療する▽緊急時に原則入院できる――の3点。複数の協力医療機関で満たすことも認める。年1回以上は状況を確認し、協力医療機関名などを自治体に報告する。
また、入所者の情報を共有する会議を定期的に開くことを報酬で評価。入所者が回復したら再入所できるように努めるとした。
委員からは「地域の医療資源によっては要件を満たすのは困難」「1年の経過措置があっても義務化は早急すぎる」といった意見があった。厚労省は「まずは現行の協力医療機関と話し合い、その中で在宅医療を担う医療機関についても相談してもらうことを想定している」と説明。詳細な要件、経過措置期間については引き続き検討するとした。
特養に関してはほかに、配置医師緊急時対応加算で日中でも通常の勤務時間外に駆け付けた場合を評価する。通院の付き添いが負担となっている透析の必要な入所者の受け入れが進むよう、要件を設けて報酬で評価する。老人保健施設などが対象の退所時情報提供加算を一部見直した上で特養にも新設する。
さらにユニットケアの推進に向け、管理者に研修の受講を努力義務化する。職員の主たる所属ユニットを明らかにすれば、ユニット間の勤務ができることを明確化する。
報酬が高い定員30人の小規模特養(498施設)を通常の基本報酬と統合することについては、引き続き検討する。ただ、離島、過疎地以外にあって広域型特養と一体的に運営している場合は1年の経過措置後に通常の基本報酬に統合するとした。
同日は主に施設系サービスについて議論した。老人保健施設については、在宅復帰・在宅療養支援の強化に向け、評価指標の基準を引き上げ、支援相談員の配置で社会福祉士を評価する見直しを行った上で、現行の五つの基本報酬にメリハリをつけるとした。