新複合サービスは訪問・通所の組み合わせ 介護報酬は包括払い

2023年1114 福祉新聞編集部

厚生労働省は介護保険の「新たな複合型サービス」について、訪問介護と通所介護を組み合わせた地域密着型サービスとし、要介護度別の包括報酬とする案を、6日の社会保障審議会介護給付費分科会で説明した。訪問介護の人材不足を補い、必要なサービスを提供できるようにすることが目的。ただ、委員からは依然として慎重意見が多かった。

 

新複合型サービスの人員、設備、運営基準は、基本的に訪問介護、通所介護と同様とする。管理者は1人配置とし、事業所全体で必要な人員を確保していれば基準を満たしていることとする。

 

設備はすべて共有して使い、地域に開かれたサービスとするため、6カ月に1回、運営推進会議を開催する。サービスは居宅介護支援事業所のケアプランに基づいて提供する。

 

加算や減算については、現行の訪問介護、通所介護と同様とすることを基本に、新複合型サービスの特性を踏まえた内容も検討する。

 

厚労省は8月に同分科会で論点に挙げた時より具体的な方向性を示したが、委員の反応は慎重派が目立った。「サービスが複雑化する」「訪問介護員の人材不足に対する効果は少ない」「小規模多機能型居宅介護との違いが明確ではない」などの指摘があった。

ケアマネ逓減性適用件数を緩和

居宅介護支援については、逓減制(ケアマネジャー1人の取り扱い件数が増えると介護報酬が減る)の適用件数を緩和し、居宅介護支援1.は40件を45件に、同2.はケアプランデータ連携システムの活用を要件に加えた上で45件を50件にする案を示した。2021年度介護報酬改定でも緩和されたが、調査で業務への影響はないとする意見が多く、事業所でICT(情報通信技術)の活用が広がっていることを踏まえ、さらに緩和する。

 

利用者宅での月に1回以上のモニタリングについて、ほかのサービス事業所と連携して情報を収集し、少なくとも2カ月に1回訪問するなど一定の要件のもと、テレビ電話などによるモニタリングを認める。

訪問介護の同一建物減算見直し

訪問介護については、同一建物減算を算定する利用者のみにサービスを提供する事業所が半数以上を占めることなどから、同一建物に住む利用者が一定割合以上いる場合の減算幅を見直す。また、利用者宅への移動距離が長いが、特別地域加算などの対象になっていない中山間地域の事業所について、サービス継続の取り組みを新たに評価する。