福祉用具の貸与・販売の選択制を導入 来年度から、歩行器・単点杖など

2023年1108 福祉新聞編集部

厚生労働省は介護保険の福祉用具について、利用者が貸与か販売か選べる選択制を導入する方針を固めた。対象用具は「固定用スロープ」「歩行器」「単点杖」「多点杖」の四つ。10月30日の福祉用具のあり方を話し合う検討会で了承された。今後、社会保障審議会介護給付費分科会に報告し、通知などが出された後、来年4月に導入される見込み。

 

検討会の議論は、財政制度等審議会が介護給付費抑制のため「廉価な福祉用具を貸与から販売に変えることでケアマネジメント費用を不要にできる」(2020年11月)と指摘したことを受けて始まった。

 

介護保険における福祉用具は貸与を原則とし、他人の使用後で抵抗感のあるもの(例=腰掛け便座)などは例外的に販売となっている。今回、例外の範囲を拡大して選択制を取り入れる。

 

対象用具は要介護度に関係なく利用でき、利用者が購入の判断をしやすい比較的廉価なものとして四つに決まった。四つの中で複数個必要な場合も認めるようにする。

 

貸与か販売かは利用者が自己決定で選ぶことを大前提とする。介護支援専門員、福祉用具専門相談員は直近の医学的所見に基づき、多職種の意見も踏まえるためサービス担当者会議などを活用しつつ、利用者に貸与、販売に関する提案をする。

 

利用者が貸与を選んだ場合、福祉用具専門相談員は利用開始後少なくとも6カ月以内にモニタリングをして、貸与継続の必要性を検討する。一方、販売を選んだ場合、福祉用具専門相談員はサービス計画の目標達成状況を確認し、保証期間を超えても使用方法の指導やメンテナンスを行うよう努める。

 

選択制導入による財政効果については今後検証するとした。また、選択制導入により支給基準限度額(10万円)を超える利用も想定されるため、導入後の実態を踏まえ支給基準限度額の検討も行う。

 

なお検討会では、厚労省が作成した事故報告様式案、利用安全手引きの活用促進や、福祉用具専門相談員の指定講習カリキュラムの見直しなどを行う方針も示している。