介護報酬改定、6月施行案に賛否 分科会では検討継続に

2023年1014 福祉新聞編集部

厚生労働省は10月11日、社会保障審議会介護給付費分科会を開き、介護報酬改定の施行時期を現行の4月から6月に変更することを議題に挙げた。診療報酬改定が2024年度から6月施行になることに合わせた見直しだが、委員からは賛否両論あり、引き続き検討することになった。

 

通常、介護報酬改定は3月に関係告示が公布されるため、介護事業所は4月1日の施行までの短期間で準備しなければならず、ベンダー(販売業者)もシステム改修を急いで行う必要がある。

 

診療報酬でも同様の対応が求められており、短期に膨大な業務負担が生じることから「デスマーチ」と言われる。加えて24年度改定は医療DX推進のためのシステムにかかる見直しがあり、医療現場やベンダーにさらなる負荷をかけないよう、8月の中央社会保険医療協議会で6月1日施行とすることが決まっている。

 

同日の議論で6月施行賛成派の委員は、両報酬の施行時期が異なると「両報酬を請求する訪問看護事業所などで混乱が生じる」「同時改定による医療介護連携に支障をきたす」と指摘。「利用者に分かりやすいことが大切」「診療報酬に合わせた6月施行以外あり得ない」との発言もあった。

 

一方、4月施行維持派の委員からは「昨今の物価高騰や人件費上昇を踏まえると早く改定してほしい」「処遇改善加算の見込み額の算定などで介護事業所や市町村の事務負担増加を懸念する」「介護保険事業計画期間内に複数の介護報酬があると自治体の介護給付費見込みや介護保険料算定に影響を及ぼす」といった意見があった。

 

なお、厚労省は改定施行時期に関係なく、第9期介護保険事業計画の期間は24年4月~27年3月であることを説明した。