報酬増の要望相次ぐ 関係団体ヒアリングで〈厚労省・介護給付費分科会〉

2023年1010 福祉新聞編集部

厚生労働省は9月27日と2日に開いた社会保障審議会介護給付費分科会で、2024年度介護報酬改定に向けて計31の関係団体にヒアリングを実施した。物価や燃料費の高騰に見合った各サービスの基本報酬引き上げ、他産業の賃上げを踏まえたさらなる処遇改善、三つの処遇改善加算の一本化などを求める意見が相次いだ。

 

全国社会福祉法人経営者協議会は、電気、ガス、燃料が1施設当たり平均年940万円の負担増となったのに対し、補助金は平均160万円だった調査結果などを示し、「財政支援が追い付いていない。臨時の介護報酬改定も含めた対応を検討してほしい」とした。都市部への人材流出もあることから近隣自治体と均衡のとれた地域区分の弾力的な設定も求めた。

 

全国ホームヘルパー協議会は、看取りや認知症ケアを行うホームヘルパーの専門性、高度化しているサービス提供責任者の業務を評価するよう要望。人材確保に向け、介護職員初任者研修などで訪問介護を重点的に学べる環境の整備も求めた。

 

日本認知症グループホーム協会は、重度化する入所者への対応、医療提供体制の整備を評価するよう要望。1事業所に1人以上の配置が義務付けられているケアマネジャー兼務可能な範囲を拡大するよう提起した。

新複合型サービス 肯定的意見目立つ

創設が検討されている訪問介護と通所介護を組み合わせた新たな複合型サービスについては肯定的な意見が目立った。

 

全国介護事業者連盟は「今後の制度改革の重要なテーマであり、包括報酬を前提として前向きに検討してほしい」、全国ホームヘルパー協議会は「既存の訪問介護事業所との適切な連携が図れるよう制度設計してほしい」と発言。全国定期巡回・随時対応型訪問介護看護協議会は、定期巡回と通所介護を併用すると支給限度額があるため通所介護の利用を制限せざるを得ない現状を指摘し、「定期巡回と通所介護を組み合わせた複合型サービスならその問題を取り除ける」とした。

 

これまでの分科会の議論では複合型サービスについて必要性を感じられず、制度の複雑化につながることなどから創設に否定的な意見が出ている。

 

次回から分科会は年末の取りまとめに向け、具体的な議論に入る。