性犯罪歴確認、衆議院で審議入り 保育所や養護施設が対象

2024年0519 福祉新聞編集部

保育所や児童養護施設など、こどもと関わる仕事に就く際に性犯罪歴がないことを証明する制度の創設に向けた法案が9日、衆議院で審議入りした。本会議の趣旨説明で加藤鮎子こども政策担当大臣は「性犯罪前科の有無を把握することは、児童への性暴力を防止する上で重要な手立てだ」と強調した。

同制度は、こどもを支援する仕事に就く人に性犯罪歴がないかを調べるもので、こども家庭庁が新たな情報照会システムを作る。

事業者は、監督や制裁の仕組みもある保育所や児童養護施設などについては義務化。認可外保育施設や放課後児童クラブ、学習塾などは義務ではないが、制度を活用できる認定制とする。

犯罪歴の照会期間は、拘禁刑は刑の終了後20年、執行猶予がついた場合は裁判確定から10年などとした。

制度は既に働いている職員も対象となっており、仮に性犯罪歴が確認されれば、最終的には解雇も認められる。

質疑で城井崇・立憲民主党議員は制度について「犯罪歴は本来、厳重に秘匿すべき情報。職業選択の自由やプライバシーという重要な憲法的価値に関わる制度を運用する自覚が必要だ」と訴えた。

これに対して、加藤大臣は「性暴力被害は生涯にわたって回復しがたい有害なもの。こどもの尊厳を守ることがまず必要だ」と主張。情報管理の徹底に向けたガイドラインも検討していることを明らかにし、法案成立に理解を求めた。