年金改革法が成立 被用者保険、適用を拡大
2025年06月22日 福祉新聞編集部
パートなどの短時間労働者が厚生年金に加入する際の年収要件(106万円以上)の撤廃を柱とした年金制度改革法案が6月13日、参議院本会議で賛成多数により可決、成立した。働き方や男女差に中立的で、ライフスタイルの多様化に沿った制度にすることが狙いだ。施行は一部を除き2026年4月1日。重要広範議案という位置付けにもかかわらず、国会提出が予定より2カ月遅れとなり、法案から抜けた部分が衆議院で復活する異例の展開となった。
働き控え減らす
在職老齢年金については、年金が減額となる収入基準額を上げる。年金の減額を気にして働き控えする人を減らす。
遺族厚生年金は、18歳未満のこどものいない夫婦が60歳未満で死別した場合、年金の給付期間を男女とも原則5年とする。
現行制度は男性よりも女性の給付期間が長い。女性の就業率が高まり、共働きが増える実態に即して男女差を解消する。
基礎年金の底上げは?
改革の目玉は将来目減りする基礎年金を底上げすることだが、負担増を嫌う与党内の慎重論により、法案には盛り込まれなかった。
しかし、衆議院の審議で自民、公明、立憲民主の3党が底上げ策の検討規定を追加することで合意。29年の財政検証を踏まえて底上げの是非を判断することになった。
底上げに必要な財源は厚生年金の積立金と国庫負担となるが、追加で必要になる国庫負担をどう確保するかは不明だ。
基礎年金の目減りを放置すれば、障害基礎年金も目減りする。生活保護の受給者が増えるとの見方もあり、29年の財政検証を待たずに検討を始めるべきとの意見も上がった。
障害年金は手付かず
障害年金の見直しについては、一部を除いて手つかずのまま終わった。とりわけ現行の判定の仕組みに対しては疑念の声が強く、衆院、参院それぞれの付帯決議はその透明性を確保するよう政府に求めた。