札幌でケアラー支援シンポジウム オンライン含め500人が参加

2024年1207 福祉新聞編集部
シンポでケアラー支援の必要性を訴えた

北海道はケアラーの置かれている状況や支援の必要性について理解を深めようと、ケアラー支援推進シンポジウム「支える人を、ひとりにしない。~介護で人生や仕事をあきらめないために」を11月21日、札幌市内で開いた。会場とオンラインで約500人が参加した。

冒頭、大島康雄星槎道都大准教授が講演。核家族化の進行など社会環境の変化で、家族介護の課題は多様化している。ケアラーの孤立、介護殺人、年間10万人と言われる介護離職など、昨今のケアラーを取り巻く問題について解説した。

パネルディスカッションでは、NPO法人レター・ポスト・フレンド相談ネットワークの田中敦理事長ら4人のパネリストが「当事者のケアによる引きこもり8050問題」「子育てと介護のダブルケア」「若年認知症」などをテーマに事例を紹介。支援の必要性を訴えた。

8050問題に取り組む田中理事長は「引きこもりにとって、本来は親亡き後が一番の心配事。当事者の平均年齢が40歳を超え、居場所として中間的な就労の場が求められている」として、本年度から札幌市とソフトバンクが連携し、週に数時間パソコンを使用する当事者に負担感の少ない仕事を受託した例を紹介した。

「ダブルケア」は仕事との両立が難しく、誰に相談してよいか分からずに孤立してしまう。Ka.ELLEの野嶋成美代表は「周りの人がまず話を受け止めてほしい。アドバイスは要らない。人は解決する力を持っている」と支援方法についても要望した。

コーディネーターを務めた日本ケアラー連盟の中村健治理事は、誰もが介護し、介護される時代という状況を理解し、支援するため「もっと当事者、家族の声を聞いてほしい」とパネルディスカッションをまとめた。