高齢者の運転中止は認知症リスク 老年学会「代替手段検討を」

2024年0509 福祉新聞編集部

日本老年学会(荒井秀典理事長)は4月15日、高齢者の自動車運転に関する提言を盛り込んだ報告書を公表した。高齢運転者は運転技能が低下し、重大な事故を起こす危険性が高いとする一方、運転を中止すると認知症を発症するリスクが高まると主張。高齢者に一律に免許返納を迫るべきではないと訴えた。

 

その上で、認知機能や身体機能の衰えを定期的に把握し、運転継続が難しい場合は行政や地域からの適切な支援を受け、中止する前に代替手段を検討すべきだとした。

介護予防の一環として

「適切な支援」の具体例として、大分県竹田市の地域包括支援センター(社会福祉協議会が受託)が開催する高齢者向けの健康教室を紹介した。

 

高齢者が自ら運転を続けられるよう身体能力や認知機能を維持する大切さを学べる環境をつくることが、自分の運転寿命を知ることにつながると判断。介護予防の一環として運転問題を捉えるよう提言した。

 

運転中止後の「代替手段」としては、時速20キロメートル未満の小型電動車や、住民による支え合い活動としての移動サービスの例(神奈川県秦野市、島根県美郷町、三重県玉城町)を紹介した。

 

2023年末の国内の運転免許保有者は8186万人。そのうち65歳以上が1984万人(24%)を占める。