認知症者の思い活動に 練馬区のチームオレンジ

2024年0229 福祉新聞編集部
認知症の本人7人が自由に語り合った

東京都練馬区は2021年度から認知症の本人が集まり語り合う「本人ミーティング」を開き、本人の得意分野を生かせるようサポートする「チームオレンジ活動」を展開している。目指すのは認知症になっても自分らしく暮らせる地域だ。

 

現在、区内の認知症高齢者は推計2万9000人。区では対策として全27カ所の地域包括支援センターで相談を受け付け、困難ケースは認知症専門医につなげるなどし、本人ミーティング、チームオレンジ活動も対策の一環として取り組んでいる。

 

8日、区の田柄地域集会所で開かれた本人ミーティングには80代を中心に男女7人が集まり、自由に語り合った。デイサービスの話題では「折り紙をしたり歌ったりする」「送迎があっていい」「おやつも出る」と盛り上がると「それならみんな利用した方がいいね」と笑いが起きた。サポート役の3人のボランティアは全員が話せるように配慮した。

 

参加者の1人でとうきょう認知症希望大使の長田米作さん(90)は72歳で発症したが、家族の支えなどもあって今も毎日1時間散歩するほど元気だ。「認知症になると家にこもってしまうので周りの人が集まりに誘ってほしい」と言う。

 

本人ミーティングは複数の会場で22年度に計199回開かれ、延べ約550人が参加した。音楽の仕事をしていた本人の思いから一緒に音楽を楽しむ会ができるなど、区では本人の得意なことをくみ取り、次の活動に結びつけることにも力を入れている。田柄地域包括支援センターの横塚亜美さんは「やりたいことに挑戦する姿は認知症への偏見をなくすことにもなる」と話している。