間違えても「まぁいいか」 認知症の人が働くカフェ(神奈川)

2023年1204 福祉新聞編集部
料理を運ぶ認知症のあるスタッフ

認知症の人が接客スタッフとして働き、間違えても「まぁいいか」と受け止める「注文をまちがえるかふぇ」が11月23日、神奈川県小田原市で開かれた。認知症の理解を深め、間違いを許し合える社会を目指すもので、5年ほど前から各地で取り組まれている。

 

当日は認知症グループホームなどで暮らす26人(68~92歳)が交代で接客し、職員はなるべくサポートしないようにした。

 

開店の午前11時を過ぎるとすぐに満席になった。地域のボランティアが縫ってくれたエプロンをしたスタッフは、注文を聞いたり料理を運んだり、慌ただしく動く。一生懸命働いているが、何度も料理を違う席に運んだり、運んでいる途中でどこに持っていくかを忘れたり、そんな姿を客は温かく見守った。中には困っている様子を見かねた客から料理を取りに行く場面もあった。スタッフは落ち着いてくると仕事を忘れて客の隣に座って話し込むなど、店内はにぎやかでおおらかな雰囲気に包まれた。

 

勤務後、給与を受け取ったスタッフは「おいしいって言ってもらってうれしかった」「にぎやかなのが好き。またやりたい」と喜びの感想を語った。職員は「グループホームでは話し相手が限られているので、いろんな人と関われるのはいい刺激になる」と話した。

 

会場は障害者就労継続支援B型「むすび処茶のまある」(社会福祉法人宝安寺社会事業部、大水健晴理事長)で、地元産の足柄牛を使ったメニューなどが提供され、障害者3人も調理に関わった。大水理事長は「認知症の人は実はいろんなことができるという職員の気付きにもなる」と話す。

 

イベントの主催は市グループホーム・小規模多機能連絡会。行政や社会福祉協議会なども協力し、地域が連携する活動となった。