「ケアラー条例」実現へ 今春施行の長崎から県議招きフォーラム〈京都ケアラーネット〉
2023年10月31日 福祉新聞編集部京都府、京都市などでケアラー支援条例の制定を目指す京都ケアラーネットは10月14日、同市下京区で、長崎県議会議員の江真奈美さん(自民党)と認知症の人と家族の会長崎県支部代表の神原かみはら千代子さんを招き、「ケアラー支援条例の可能性を探る」をテーマにフォーラムを開いた。
江さんは2013年7月に県議に初当選。議員提案で条例制定を目指し、昨年10月の長崎県ケアラー支援条例の可決、今年4月の施行をリードした。
報告に立った江さんは、「採決で全議員が起立した。感動的でした」。
江さんはメディアの仕事をフリーで行っていた。26歳で結婚し、長男が生まれた。重度の知的障害と身体障害があった。30歳で離婚した。
この間、メディアで介護される人、介護する人(ケアラー)の実態を伝えたが、「当事者が、政治の世界にいないと社会は変わらない」と、政治の道へ。議員になってからも高齢の母と長男のダブルケアが続いた。初当選から2年4カ月後に母が他界、長男も大腸がんの闘病の末、18年6月に亡くなった。
20年11月に、初めてケアラー支援について一般質問。神原さんらと連携して、民間支援の10団体にケアラーの現況把握のためのアンケートを実施した。
その後、県の関係部局などと協議して条例素案を作成。昨年4月から、当事者の家族会や医師会、看護協会などとも連携を深め、県内の市町のケアラー関係担当課へオンラインで条例素案を説明。昨年6月には全議員提案で進めることが決まり、パブリックコメントを実施。条例案をつくって、昨秋の可決につなげた。
フォーラムには京都市議らも駆け付けて、質問した。
京都ケアラーネットは昨春、認知症患者や障害者を介護する家族ら当事者でつくる京都の13市民団体が連携して発足し、活動者は増えている。