福祉用具のメンテナンス〈高齢者のリハビリ〉

2023年0707 福祉新聞編集部

 福祉用具は人の生活を守る大切な役割をしています。転倒予防、移動手段の改善など、動作を安定させ、安全な日常生活を実現します。しかし、大切な福祉用具も長期間使用していると、いろいろな不具合が生じてきます。今回は車いすや、つえを中心に考えてみましょう。

その車いす安全ですか?

 「この車いすを押していると、なんか曲がっていく気がするんだよね、でもブレーキもタイヤも問題なさそうなんだけど……」と相談がありました。

 

 試しに誰も乗っていない状態で車いすを押してみると、右へカーブを描き、ガタガタ揺れながら進んでいきます。よく見ると一方のタイヤの空気が抜けていました。

 

 そのほか、注意しておきたいのが、キャスターの車軸のゴミ。特に髪の毛がグルグルと絡まっていることがあります。キャスターの回転が悪くなり、走行に支障をきたします。こまめに点検しておく必要があります。

そのつえ安全ですか?

 つえを外側へ大きくついている人がいました。「もう少し体の近くでつけますか?」と言うと「そうするとぐらぐらするのよ」と。よく見ると、つえ先のゴムが斜めにすり減っていて、斜めにしかつけないほどでした。つえ先ゴムは定期的な交換が必要です。

その歩行器安全ですか?

 つえをついて歩けるのに、歩行器になると左へふらつく人がいました。身体には問題はありません。よく見ると歩行器の足が一本曲がっているではありませんか。歩行器は四つの足で安定して体を支えるものです。ぐらついていると転倒につながります。

ネジ1本まで

 車いすはフットレストが動いたり、アームサポートの高さが変えられたり、乗る人に合わせて調整できます。そんな時にネジがさびついていたり、ネジ穴が使えなくなっていたりしては調整のしようがありません。末長く快適に使ってもらうために、メンテナンスは欠かせません。たかがネジ1本、されどネジ1本!おろそかにせず、よく観察しましょう。

車いすに座ってみる

 多くの施設で使用されている、折りたたみ車いすのシート部分は時間とともにたわんでいきます。そんな車いすでは体は傾き、姿勢は崩れ、腰や肩などあちこちの関節に痛みが出ることがあります。施設や病院のスタッフも長時間車いすに座ってみてください。利用者の苦痛を体験できます。このようなシートのたわみに対しては、座面を平らにするクッションを置くと良好な姿勢をとることができます。こうなれば、座っていることの苦痛は緩和され、食事は進み、笑顔もみられ、活動的な状態になっていただけるのではないでしょうか。

気遣い、心遣い

 福祉用具は利用者の生活を支え、QOL(生活の質)を向上させる重要な働きをするので、その選定とメンテナンスは大切です。利用者の心身への心遣いと同時に、利用者が使っている福祉用具への気遣いも忘れないようにしたいものです。

 

筆者=谷崎麻綾 小金井リハビリテーション病院 主任

監修=稲川利光 令和健康科学大学リハビリテーション学部長。カマチグループ関東本部リハビリテーション統括本部長

 

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