施設でできる簡単な運動〈高齢者のリハビリ〉

2023年0512 福祉新聞編集部

 運動は筋力の維持・強化のみでなく、免疫力を高め、疲労やストレスを解消し、病気の予防にもつながります。安全かつ健康に日々の生活を送るために、運動は継続して行うことが大切です。

 

 今回「簡単に」「安全に」できる運動を紹介します。

肩回りの運動

 いすに座りながら両手を上げます(手の平は上に向けた状態)。手の平を外に向けたまま、肩の高さまで肘を下ろします。この時、肘は90度程度に曲げた状態で、肩甲骨を寄せるように意識しながら行います。この動作を無理のない回数で繰り返し行います。肩甲骨周辺の幅広い筋肉(主に僧帽筋)にエクササイズを行うことができ、肩甲骨を可動域いっぱいに動かすことで丸まった背骨を矯正することができます。

腹式呼吸

 いすに浅く座って背骨をまっすぐに伸ばして、息を吸う時におなかが膨らみ、吐くときにおなかがへこむように意識しながらゆっくりとした呼吸を続けます。腹式呼吸は腹横筋の機能を高めるので体幹が安定し、動く際に体のバランスが向上します。

足指グーパー運動

 いすに座り、足指を閉じてグーの形を作ります。足先を広げてパーの形を作ります。これを繰り返します。しっかり開いたり閉じたり力を入れて行いましょう。足底の筋肉を刺激することで地面を踏みしめやすくなります。

 

 次は立って行う運動を紹介します。実施する際はバランスを崩さないように注意してください。

スクワット運動

 スクワットはいすから立ったり座ったりを繰り返し行う運動です。下半身にある大きな筋肉(大殿筋、大腿四頭筋、ハムストリングス)をすべて使うので、効率よく筋力を高めることができます。また、スクワットによって強化するこれらの筋肉は腰痛や膝痛の予防にも重要な筋肉です。

 

 立ちながら行う運動はいすや手すりなどにつかまりながら行うと安全です。無理のない範囲で行いましょう。

 

 冒頭でもお伝えしたように運動は「継続」が重要です。筋力が落ちるのは早く、それを取り戻すには長い期間を要します。継続することでロコモティブシンドロームの予防や、老後の健康寿命を延ばす効果も期待できます。ご自身の状態に合った運動を選んでください。

 

 紹介した運動はテレビを見ながらでもできると思います。思いたったが吉日。さあ始めましょう!

 

筆者=田中悠三 みどり野リハビリテーション病院 主任

監修=稲川利光 令和健康科学大学リハビリテーション学部長。カマチグループ関東本部リハビリテーション統括本部長 

 

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