介護現場の離職者増 介護団体緊急調査、中堅職員が流出

2025年0518 福祉新聞編集部

介護関係16団体が5月8日、都内で開いた「介護現場で働く人々と家族の暮らしを守る集会」で、共同で行った緊急調査の結果を公表した。物価高騰の影響で食費が前年度比1・1倍になった実態や、介護現場の離職者が大幅に増えている現実が明らかになった。

調査は全国社会福祉法人経営者協議会や全国老人福祉施設協議会、全国老人保健施設協会など10団体が4月に実施。1万1203事業所が回答した。

物価高騰の影響については、1月時点の状況を2024年度と比較すると、ガス代が1.1倍、燃料費が1.07倍、電気代が1.2倍になっていた。

また、施設の給食材料費が24年度比で1.08倍、23年度比で1.15倍になるなど食費も大きく上がっていた。

一方、月平均の離職数を調べると、25年度(1~3月)は24年度比で1.18倍、23年度比で1.21倍にアップ。パートよりも正職員の離職率が高かった。

転職先が介護や福祉業界以外だったケースは、23年度比で1.54倍に増加。特に10年以上勤務した正職員の介護職は、23年度比で1.72倍にも増加した。

集会後の会見で全老健の東憲太郎会長は、特に中堅の正職員が他業種へ流出している状況が大変危機的だと指摘。物価高騰についても「現場では白米に麦を混ぜるなどの工夫で乗り越えようとしている」と述べ、苦しい経営環境を訴えた。

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