福祉分野横断の連携求める 連携推進法人は要件弾力化〈厚労省検討会〉

2025年0802 福祉新聞編集部

厚生労働省の2040年に向けたサービス提供体制等のあり方検討会(座長=野口晴子早稲田大教授)は7月25日、介護、障害福祉、こどもの福祉分野に関するサービス提供体制などを盛り込んだ報告書をまとめた。地域ごとに分野を超えた関係者の連携を求め、社会福祉連携推進法人の要件弾力化も提案している。

検討会は今年1月から、65歳以上の高齢人口がピークを迎える40年に向けた介護サービス体制について議論。4月の中間報告は、需要が減少している中山間地域、都市部、一般市に分け、地域に応じた効率的な提供体制を確保する方針を示した。その後、検討会は障害やこども分野などについても議論してきた。

報告書は、人口減少や人材不足などを背景に、それぞれの分野を超えて共通の課題へ対応することが重要だと指摘し、経営の効率化を求めた。社会福祉法人など地域の中核的なサービス提供主体がバックオフィス業務を取りまとめるなど連携を推進。インセンティブも含めて今後検討する。

また、協働化の一つの手法である社会福祉連携推進法人についても、より使いやすい仕組みにする必要があるとし、要件の弾力化や手続きの簡素化を進める。また所轄庁の判断で、連携法人が社会福祉事業を行えるようにする。

こうした取り組みでは福祉医療機構による資金融資を強化する。合併の際などに必要な経営資金の優遇融資も挙げた。

4月の中間報告は、今後需要が減る中山間地域において、条件付きで配置基準の弾力化やインセンティブ付与などを提案していた。

今回の報告書は障害やこども分野でも同様の考えを示した。特に保育については統廃合の可能性もあるとして、市町村が中心となり、将来を見据えた計画的な整備や、保育所の多機能化、法人の合併などを進める必要があるとしている。

さらに福祉サービスで共通する課題への対応として、既存施設の有効活用を挙げた。

現在、国庫補助を受けた施設は10年以内に転用すると、補助金を返還する必要がある。この規制については、介護施設の一部で障害サービスや保育などを行う場合など、条件付きで緩和する仕組みを検討する。

今後、報告書については関係審議会などで議論する予定だ。

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