介護職員の給与改善急げ 背景に人材流出の加速

2025年0517 福祉新聞編集部
あいさつする東会長

介護関係の16団体は5月8日にザ・キャピトルホテル東急(東京都千代田区)で、現場職員の賃上げなどを求める集会を開催した。与党の国会議員58人も参加。介護団体などは独自調査の結果として、給与の高い他産業への人材流出が加速している実態を訴えた。その上で、2026年4月に介護報酬の期中改定を行うことや、それまでの賃上げ補助などを要望する決議を採択した。

「私たちを見捨てないでほしい」

開会にあたり参加団体を代表し全国老人保健施設協会の東憲太郎会長はこう声を上げた。

集会に先立ち参加団体は、独自調査を実施。その結果、他業種へ転職した介護職が前々年度比で1.5倍に増えたという。

東会長は「他産業への人材流出が加速度的に進んでいる。このままでは介護業界は持たない」と強調。「現場で働くあらゆる職員の賃金が全産業並みとなるよう財源確保をお願いしたい」と語った。

また、全国老人福祉施設協議会の大山知子会長が、26年度予定の期中改定▽期中改定までの9カ月間の賃上げ補助▽物価高騰や将来の人材確保への支援――を求める決議文を読み上げ「現場のあらゆる職員に十分な賃上げができる財源の確保を求める」と訴えた。

こうした現場の声に対し、自民党社会保障制度調査会の田村憲久会長は、介護報酬増のためには現役世代の介護保険料負担が重くなるという指摘があることに言及。「介護現場が崩壊すれば、働く人の手取りが減るどころか、働けなくなる。高齢者との間を分断してはいけない」と話した。

衛藤晟一元内閣府特命担当大臣は「一刻も早く期中改定までの9カ月間の賃上げ補助を補正で組まなければならない」と強調。同党の片山さつき議員も「介護保険なくして女性の仕事の両立はできない」と語った。

集会は全国社会福祉法人経営者協議会の磯彰格会長や全国介護事業者連盟の斉藤正行理事長ら16団体が呼び掛けて実施。関連の政治連盟9団体も発起人に名を連ねた。

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