就職氷河期世代の高齢期を支援 資産形成、住宅など軸に〈政府〉
2025年05月03日 福祉新聞編集部
政府は4月25日、現在40~50代の就職氷河期世代などのサポートに関する関係閣僚会議の初会合を開いた。石破茂首相が出席し、「就労・処遇の改善支援」「社会参加に向けた段階的支援」「高齢期を見据えた支援」を3本柱とし、関連施策の充実を図るよう指示した。6月に具体策を取りまとめ、「骨太の方針」に反映させることにしている。
内閣府によると、就職氷河期世代とはバブル崩壊後の雇用環境が厳しい時期(1993~2004年)に就職活動をした人たちで、その数は約1700万人。そのうち不安定な仕事に就いたり、長期にわたり無業の状態にあったりする人を支援対象と捉える。
「就労・処遇改善」は、リスキリング(学び直し)の拡充を図る。「社会参加」は引きこもりの人の就労準備、社会とのつながり維持を後押しする。
就労支援や社会参加はこれまでも進めてきたが、「高齢期を見据えた支援」は今回新たに打ち出した。
具体的には就業機会を整え、資産形成や住宅の確保をサポートする。この世代は他の世代と比べて金融資産が少なく、単身世帯の持ち家率は低い。
内閣府は20年度から集中的な就労支援をした結果、就職氷河期世代の正規雇用労働者は5年間で31万人増え、不本意な非正規雇用の人は11万人減少したと報告。その一方で、無業者は3万人増えたという。
石破首相は「31万人の処遇改善がなされるなど着実に成果が得られた一方、今もなお、さまざまな困難を抱えている方が大勢いる。ニーズに応じて適切かつ効果的な支援を行うことは待ったなしの課題だ」と述べた。