政府、ストレスチェックを義務化 3年以内に全企業で
2025年03月28日 福祉新聞編集部
政府は14日、従業員の精神状態を調べる「ストレスチェック」を、すべての企業に義務付けることを柱とした労働安全衛生法の改正案を閣議決定した。
これまで努力義務としてきた従業員50人未満の企業も対象に加えた。職場でのストレスによる精神疾患の発症防止を図る。今国会で改正法が成立すれば、公布から3年以内に施行される予定だ。
年1回のストレスチェックは、2015年から従業員50人以上の事業所に義務付けられた。業務量や心身の自覚症状などに関する質問に答えてもらい、心理的な負担の度合いを測る。高ストレス状態と判定された従業員は、産業医との面談を勧められる。
50人未満の零細企業はプライバシーへの配慮が難しく、作業の負担も重いことから、特例で努力義務にとどまっていた。しかし、長時間労働などが原因でうつ病などを患う人が近年急増。精神障害による労災支給決定は、23年度は883件に上り、10年前の約2倍になった。そのため、特例を廃止し、全企業にストレスチェックを義務付けることとした。
改正法案は、60歳以上の高齢従業員の労働災害を防ぐ措置を取るよう企業に努力義務を課す規定も盛り込んだ。人手不足を背景にシニアの働き手が増えたことに伴い、60歳以上の労災も増えていることを重くみた。