訪問介護の実態把握へ 介護事業の概況調査で(厚労省)
2025年02月25日 福祉新聞編集部
厚生労働省は13日、社会保障審議会介護給付費分科会(分科会長=田辺国昭東京大大学院教授)を開き、2025年度介護事業経営概況調査の内容について明らかにした。24年度から基本報酬が引き下げられた訪問介護については、新たに移動の手段や時間などを聞く項目を新設。より詳細に実態を把握する方針を示した。
調査はすべての介護保険サービスを対象に3年に1回行っている。報酬改定前と後で、サービス状況や職員給与などを調べる。結果は次期報酬改定の議論で活用する。
会合で厚労省は従来の調査項目を基本とした上で、新たに訪問系サービスについて、訪問先の状況や移動手段、移動時間を把握するための調査項目を追加する方針を示した。その理由について厚労省は「提供実態を踏まえて、より詳細に分析するため」と説明した。
訪問介護をめぐっては、24年度の改定で基本報酬がマイナス2・4%だった。理由について厚労省は22年度の経営実態調査で訪問介護の利益率が7・8%と、ほかのサービスよりも高かった点などを挙げていた。
ただ、これについてはサービス付き高齢者向け住宅などを、効率的に訪問する事業者が利益率を押し上げているとの指摘がある。地方を中心に利用者宅を一軒ずつ回る事業所などからは抗議の声も上がっていた。
会合では、訪問介護に関する調査項目の追加を評価する声が相次いだ。
全国市長会の立場で長内繁樹大阪府豊中市長は、訪問介護事業所の倒産が過去最多という民間調査を踏まえ「地域を支えてくれている事業所が淘汰とうたされないよう、実態を着実に把握してほしい」と要望した。全国老人福祉施設協議会の小泉立志副会長は「事業所には多くの課題が山積しており、経営努力では限界だ」と強調。地域によっては訪問介護によるサービス提供が困難となる地域も出ている現状を訴えた。
このほか調査では、介護テクノロジーの導入状況を把握するための項目を新たに追加する。保守点検などランニングコストについても聞くという。
調査は5月に実施。結果の発表は12月ごろを予定している。