育成就労外国人、転籍受け入れに上限 都市部集中に対策(政府素案)

2025年0217 福祉新聞編集部
育成就労制度の関係省令案の作成に向けて議論を始めた有識者懇談会

外国人の技能実習制度に代わって2027年6月までに創設される育成就労制度について、政府は詳細を定める関係省令の素案を6日の有識者懇談会に示した。1~2年で認められる転籍(転職)に関連して都市部への集中を防ぐ対策や、来日渡航費などの初期費用を分担する仕組みなどが明らかになった。議論を重ね、夏ごろ関係省令が公布される。

育成就労制度の在留期間は原則3年。働きながら技術を習得してもらい、最長5年間在留できる特定技能1号の水準まで育成する。介護の場合、特定技能の5年間に介護福祉士に合格すれば在留資格「介護」を取得し、永続的に日本で働ける。背景には人材不足を補う狙いがある。

受け入れ施設は、育成就労外国人が日本語能力試験N4(初級レベル)に合格できるよう、3年間で100時間以上、日本語を学ぶ機会を提供し、費用も負担する。育成就労期間の3分の1以上は「必須業務」(介護の場合は食事、入浴、排せつ介助など)に従事させる。

育成就労制度では1~2年働けば本人意向の転籍ができるが、施設が受け入れられる転籍者数は、在籍する育成就労外国人の3分の1以下に制限する。さらに地方から都市部の施設が受け入れる場合は6分の1以下とする。地方から都市部への人材流出を防ぐためで、ほかにも地方の優良な施設は都市部より多くの人数を受け入れられる対策も講じる。

来日渡航費などの初期費用を転籍前の施設だけが負担する不平等をなくすため、育成就労外国人が転籍するまでの期間が短いほど転籍先の施設がより多くの費用を負担する仕組みを設ける。

技能実習では外国人が多額の借金を背負わされていた問題の解消に向けて、育成就労外国人が送り出し機関に支払う費用は、日本で受け取る月給の2カ月分を上限とし、超えた額は受け入れ施設が負担する。

特定技能も訪問介護など従事可

同日は特定技能、育成就労の基本方針、分野別運用方針を議論する有識者会議も開かれた。介護分野の運用方針では、特定技能外国人が訪問系サービスに従事できるよう見直す案が示された。すでに厚生労働省の検討会で議論し、介護職員初任者研修課程などを修了していることを前提に、一定の条件のもとで認める方向性が示されていた。

基本方針は3月、分野別方針は12月の閣議決定を目指す。