〈地域医療構想〉介護施設の対応力強化 厚労省が2040年見据え方針

2024年0831 福祉新聞編集部

厚生労働省は8月26日、高齢化や人口減少に応じて地域ごとに医療機関を再編・統合する「地域医療構想」について、2040年を見据えて特別養護老人ホームなど介護施設による医療ニーズへの対応力強化を含める方針を示した。

85歳以上の高齢者の増加に伴い、病院への救急搬送も増えることを重くみる。入院後は早期にリハビリテーションを行い、生活の場に戻って医療を受けるようテコ入れする。

在宅医療の需要も増えると見込み、介護施設と地域の医療機関が日ごろから連携することを促す。救急搬送の件数を減らしたり、介護施設が退院後のケアを担ったりすることに期待を寄せる。

同日の「新たな地域医療構想等に関する検討会」(座長=遠藤久夫学習院大学長)にこうした方向性を示した。検討会は年内に報告書をまとめ、厚労省は法改正も検討する。

老人ホームからの救急搬送件数の見通し

老人ホームから搬送40年は推計67万人に

同日の検討会で厚労省は、40年の年間救急搬送件数を560万件とする推計を初めて示した。20年の510万件から50万件増える。とりわけ、85歳以上の救急搬送が75%増加し、在宅医療の需要も62%増えるとした。

21年の救急搬送の原因となった事故発生場所の約6割(325万人)は「住宅」だ。老人ホーム(特養、有料老人ホームなど)は8%(45万人)に過ぎないが、40年には67万人に増えるとの推計も示した。

地域医療構想は14年6月成立の「医療介護総合確保推進法」により、都道府県が策定するもの。現在の地域医療構想は25年時点で必要な病床数をベースに作られた。都道府県の責任を明確にすることも検討課題だ。