カスハラ対策、福祉施設も義務化 厚労省検討会が方針

2024年0727 福祉新聞編集部

顧客による迷惑行為「カスタマーハラスメント」について、厚生労働省は19日、従業員をカスハラから守る対策を講じるよう、企業に義務付ける方針を示した。病院、学校、福祉施設といった公共性の高い施設にも同様に義務付ける。

同日の「雇用の分野における女性活躍推進に関する検討会」(座長=佐藤博樹東京大名誉教授)の報告書案に盛り込んだ。8月中をめどに報告書をまとめ、審議会を経た上で女性活躍推進法など関係法の改正に臨む。

報告書案はカスハラについて、顧客、取引先、施設利用者などの利害関係者が行う▽社会通念上相当な範囲を超えた言動である▽労働者の就業環境が害される――の3要素を満たすものと定義した。

「利害関係者」は、施設の近隣住民など事実上の利害関係がある人を含んでいる。施設利用者やその家族だけでなく、加害者を広く捉えた対策を施設に求めることになりそうだ。

言動の実例として、契約内容を大きく超える要求▽たたく、唾を吐きかけるといった身体的な攻撃▽脅迫、中傷、暴言、土下座の強要など精神的な攻撃▽威圧的な言動や居座り――などを挙げた。

その上で企業に対し、従業員がカスハラを受けた際の対策をあらかじめ定めることや、顧客対応マニュアルを整備することなどが重要だと指摘。取引先からカスハラを受ける場合を想定した検討も必要だとした。

厚労省の2023年度調査によると、過去3年間にカスハラを受けた労働者は全労働者の10・8%。接客頻度が高いとカスハラを経験する割合も高い。

一方、カスハラ対策について「特にない」とする企業の割合は、従業員1000人以上の大企業で37%、99人以下の企業では74%にものぼる。